……
…
女「見て見て」
男「?」
女「四刀流!」
男「すご」
女「参った?」
男「…………」ガサゴソ
女「?」
男「ベアクロー!」
女「なんか強そう」
男「参ったか」
女「……」ガサゴソ
女「こうなったら、三十六刀流を…」
男「ないない」
20分後
男「線香花火いくつある?」
女「5本みたい」
男「これで最後だな」
女「うん」
男「二刀流する?」
女「……ううん。ひとつずつ」
男「わかった」
女「でもこれじゃあ半分こっこできないね」
カチッ
女「…………」
男「…………」
女「…………」
男「なに今の可愛い言い方」
女「え?」
女「!」
男「……勝った」
女「う…」
男「……」
女「……上手だね」
男「あ、落ちた」
女「次は最後の一本賭けて勝負にしようよ」
男「負けて泣くことになるな」
女「まさか」
男「……準備おっけ?」
女「おっけー」
カチッ
女「……」
男「……」
女「私ね」
男「?」
女「ズルいんだ」
男「え」
女「……」ツンツン
男「あ!」
女「落ちた!」
女「勝った!」
男「せこっ」
女「肘つんつんしちゃダメってルールあった?」
男「…………」
女「あー」
女「睨みつけるから落ちちゃった」
男「そりゃ睨むよ」
女「じゃあ貰います」
男「はいはい」
女「えへへ」
男「じゃーつけまーす」
女「あ、やる気なくなってる」
男「反則されたから」
女「しょうがないなぁ」
女「さっきのルールちょっとだけ変えよっか」
女「肘以外ならつんつんしていいよ」
男「…………」
カチッ
女「…………」
男「(ここでイタズラなんかやってしまった日には…)」
男「(一生彼氏になれないような気がする)」
……
…
男「全部終わったな」
男「向こうのベンチ座ろうか」
女「……うん」
女「ほんとは、打ち上げ花火も見たかったんだ」
女「お祭りとかで上げるやつ」
男「それってもしかしてフリーフォール乗りすぎたせいで…?」
女「違うよ。今日はお祭りやってなかったんだ。もっと遠出すればあったかもだけど」
男「そうか…」
女「(最後だから…)」
女「見たかったなぁ」
ドン!! ドン!!
女「!」
男「花火の音だ…!」
女「近くでお祭りやってるのかな?」
男「どうだろ」
男「俺らみたいに個人でやってるんじゃないかな」
女「あ、見て見て、向こうに上がってる!」
男「ほんとだ」
男「きっと見たいって願いが通じたんだな」
女「ふふ、そうかな」
女「すごい綺麗…」ジー
妹「師匠からの独り立ちも名シーンひとつって言ったけど」
妹「師匠の暗躍ってのも見せどころのひとつだよね、姉上」
姉「何の話か分かんないけど、楽しそうで何より」
女「これで…」
女「海にも行けたし花火も見れたし」
女「……すごい幸せ」
男「そっか」
男「これで、もう少し幸せに思ってくれればうれしいんだけど」ガサゴソ
女「?」
男「渡したいものあるんだ」
女「な、なに?」
男「はい。これ」
女「…ラッコのストラップ!」
男「ふたつあるけど、どっちがいい?」
女「!」
女「これ、合わせたら本物みたいに手繋げられるんだ…」
男「そそ。気に入ってくれると思って」
女「かわいい…」
女「うれしいよ。すごいうれしい」
女「水族館で買ってくれたんだよね?」
男「うん。諦めきれなくて」
女「…大事にするよ」
男「喜んでくれてよかった!」
女「…………」
女「ふふ」
女「……今まで楽しかった。ほんとにありがとう」
女「だから」
妹「!」
妹「姉上!点火ストップ!」
女「別れよう。男くん」
姉「ん?」
姉「天かすトップ?」
妹「食い違ってる気しかしないけど」
妹「とりあえずストップ」
姉「了解」
女「……急でごめんね」
男「…………」
女「…………」
男「俺、今日のデートすごい楽しかった」
男「冗談抜きで人生トップかもしれない」
女「…うん」
男「女さんはどうだった?」
女「楽しかった、けど」
女「友達としてしか見られないって分かったの」
じゃあ妹くれええええええ
男「友達…」
女「……」
男「(二週間前の俺から考えると…)」
男「上出来だな」
女「?」
男「女さん」
女「なに?」
男「好きだ」
女「…………」
男「好きだ」
女「…………」
男「好きだ!」
男「大好きだ!」
男「愛してる!」
女「……重いよ、男くん」
男「…………」
女「…………」
男「好きだ」ギュッ
女「……手なんか握られても変わんないよ」
男「……」ギュッ
女「恋人つなぎでも一緒」
男「……」ギュッ
女「……抱きしめられても変わんないよ」
男「じゃあこっちきて」クイッ
男「……」スタスタ
女「?」スタスタ
男「いくよ。っせーの!」
女「わわっ」
男「好き」
女「……お姫様抱っこされながら好きって言われても」
男「変わんない?」
女「……」
男「砂浜ドンは服が汚れるかもしんないし」
女「落とさないでよ」
男「堕とすよ」
女「……いつまでお姫様抱っこ続けるの?」
男「惚れるまで」
女「…………」
男「ちょっと揺らいだ?」
女「そんなセリフ言って恥ずかしくないの?」
男「…………」
男「……う、腕立てしときゃよかったかな」
女「降ろしてよ」
女「もういいよ」
女「気持ちは伝わったから」
こんな経験全くしてないけど昔に戻った感じがするわ
……
…
男「(……あいたた)」
女「ほんとに大丈夫?」
男「ばっちり回復した。女さん軽かったし」
女「……」
男「……」
女「男くんの気持ちはすごいうれしいよ」
女「でもね、でも…」
女「…………」
女「だめなの」
男「?」
男「どういうこと?」
女「私がこれ以上幸せになっちゃいけないんだ」
女「男くん。好きだよ。だから付き合えない」
切ない
男「付き合えない?」
女「もういいよ。気付いてない振りしてくれなくても」
男「……」
女「優しいもんね」
女「いつから騙された振りしれくれてたの?」
男「さてなんのことやら」
女「私は女優になれないし、男くんは俳優になれないね」
男「ダメなのか?」
男「嘘の告白でも、俺を騙してても…」
女「だって…だって全部押し付けて逃げようとしてたんだよ?」
女「許されていいわけないよ」
男「…………」
女「ほんとは分かってたんだ。罰ゲームってことがバレてる、なんてこと」
女「でもね、男くんの優しさに甘えてたの」
女「卑怯な私は全部見ない振りして、逃げてたの…」
女「ごめんなさい」
男「謝らなくても大丈夫。こっちなんか盗聴器つけようか悩んだくらいだから」
女「ふふ。どういうことなの…」
男「俺、騙されたのなんか気にしてないから」
男「むしろ嬉しかったんだよ。好きな人と一緒にいられて」
男「だから…」
女「ううん。それでもやっぱりダメなの」
男「ダメじゃない」
女「ダメなの」
男「ダメじゃねぇ!」
女「ダメ!」
女「罰ゲームってことをいいことに好き勝手してたし!」
女「皆に見られたくないからって話しかけるの躊躇したし!」
女「今日だって無理やり友達っぽく装ったりしたし!」
男「…だからフランクなひょえーが、都合の良い呪文なのか」
女「そうだよ、幻滅したでしょ…?」
女「人をおもちゃにして…最低だよ…!」
男「全部終わったことだし、いいんだって」
女「ちがうの…」
女「男くんはかんちがいしてるの…」
男「どういうこと?」
女「だって…今白状しちゃえば男くんがぜったいにゆるしてくれると」
女「そうやってきめつけて…だからずるくて…わるいこといっぱいして」グスッ
男「あー!もうじれったい!」
男「泣いてる女さんもかわいいけど!」
男「はい、これハンカチ!」
女「え、あ、ありがと…」
男「つーかそんなに気になるなら、今から俺も悪いことしてやる!」
男「それで罪悪感も半分こっこだ!」