……
…
男「お土産買ってかないの?」
女「う、うん」
女「今日は他にも行くから予算は抑え目で…」
男「そっか」
男「じゃあ次の場所教えてもらおうかな」
女「次はね…」
女「(……お揃いなんか買っちゃったら困るし)」
男「あ、ごめん」
女「?」
男「ちょっとトイレ行ってきていい?」
女「うん。わかった。待ってる」
女「(さて、電車の時間を調べなきゃ)」カチカチ
……
…
科学館
女「涼しー」
男「快適だな」
女「ほんとにね」
女「ここは?来たことある?」
男「…昔遠足で行ったような」
男「でもほとんど覚えてないや」
女「そーなんだ」
男「たしかプラネタリウムがあるんだよな」
女「そそ」
女「プラネタが見たくてね」
男「んじゃ行こうか」
女「うむ」
……
…
鑑賞中
男「…………」
男「(きれいだな)」
女「…………」ジー
男「(女さんも楽しそうだし…)」
男「(今日は朝からずっと、女さんが軽快というか…)」
男「(ほんとにこういう性格なのかな)」
女「…………」ジー
男「(いつもと雰囲気が違う?……いや、なにか無理をしてるようにも)」
男「…………」ジー
女「(適度に暗くて良いムード…)」
女「(とか、思うのかな。普通のカップルは)」
女「…………」ジー
30分後
男「良かったな」
女「うん…」
男「あんな風に流れ星見てみたい」
女「……」
女「私、小さい頃にすっごい大きくて真っ赤な星見たんだ」
男「赤い星?」
女「……うん。きっと星じゃないんだろうけど」
男「?」
女「最初は大きくて、でもずっと眺めてたらどんどん小さくなって…」
男「なんだろうな」
女「星のこと好きだったから、その頃にもちょっと知識はあって」
女「きっと超新星爆発が起きたんだ。それを奇跡的に見たんだって」
男「……うん」
女「でも、何日経ってもそんなニュースなんか流れなくて」
女「……ごめんね」
女「なんか急にいっぱい話して」
男「いや、そんなこと」
女「たまーに思い出すんだ」
女「飛行機かもしれないし、人工衛星だったのかもしれない」
男「UFOかも」
女「そっか…それだといいなぁ」
男「それかNASAが見逃したのかも」
男「きっと女さんしか見てなかったんだよ」
女「うん…」
女「(あ、やばいやばい)」
女「(戻さなきゃ)」
女「ねね」
男「ん?」
女「お昼食べよっか」
……
…
男「うどんうまい」ズルズル
女「ん」ズルズル
男「お椀がネコになってるのか」
女「そ。かわいいよね」
男「うん。かわいい」
女「…………」
男「…………」
女「(私のこと見ながら言ってるし…)」
女「ありがと」
男「飲み干せるおいしさ」
女「塩分過多になるよ」
男「…………」ズルズル
女「…………」ズルズル
電車
女「次は遊園地行くから」
男「近くにあったっけ?」
女「んー」
女「ちょっと遠くまで」
……
…
女「…………」
女「…………」
女「(大丈夫)」
女「(きっとうまくできてる)」
女「(もう半分くらいはきてるんだ…)」
女「(あと、少し…)」
女「(がんばらなきゃ…)」
女「(……ちゃんと伝えるために)」
一時間後 遊園地
男「絶叫系好き?」
女「うむ」
男「…………」
女「ん。行こ行こ」
男「……覚悟を決めねば」
女「大げさだね」
……
…
女「お、お腹いたいっ…!」バシバシ
女「ひざ…ひざが震えてる…!」
男「笑ってる場合じゃないんだって」ガクガク
女「でもひざは笑ってるね」
男「そういうのいいから」
女「からかいすぎた」
男「女さんは、なんか怖いのない?」
女「んー」
女「フリーフォール」
男「……わかった」
女「乗ってくれるんだ」
男「もうヤケだよ」
女「(やったー)」
30分後
男「も、もう一回!」
女「乗れるの?」
男「女さんを怖がらせるために!」
女「おぉ」
女「(やったー)」
1時間後
男「はぁはぁ…」
女「いっぱい乗れたね」
男「フリーフォールばっかりな」
女「いやぁ楽しかった」
男「…………」
男「ほんとに怖いものは何なの」
女「うーん」
女「そろそろベンチに座ってクレープでも食べるのが一番怖い」
男「買ってきます」
女「一緒に行くよ」
男「…………」スタスタ
女「…………」スタスタ
男「まんじゅうこえー」
女「ひょえー」
……
…
男「……」モグモグ
女「……」モグモグ
男「ひょえーって何?」
女「呪文」
男「え?」
女「都合の良い呪文なの」
男「…………」
女「…………」
男「てかオカズ系クレープ好きなんだ」
女「うん。甘いクレープちょっと苦手」
男「そうか」
女「こういうのもおいしいよー」
女「た」
男「た?」
男「また呪文?」
女「……なんでもない」モグモグ
男「……」モグモグ
女「…………」
男「…………」
女「(ふ、ふつうに)」
女「(食べてみる?って言いかけた…)」
女「(危ない…危なすぎる…)」
男「空いてたからほとんど乗ったんじゃないか?」
女「うん」
男「……今日はこれで最後?」
女「…………」
女「……ううん」
女「ご飯も食べたいな」
一時間後 レストラン
女「(……眺め良いなぁ)」
男「まだ明るいな」
女「7月だからね」
男「何食べる?」
女「カルボナーラすき」
男「なるほど」
女「カルボナーラ一丁!」
男「ここ居酒屋じゃないんだけど」
女「居酒屋なんて行ったことない」
男「俺も想像だよ」
女「何食べるの?」
男「ふわふわたまごのとろけるオムライス」
女「うわぁ…」
女「ふわたま一丁!」
………
……
…
女「ごちそうさま」
男「ごちそうさま」
女「お腹いっぱい」
男「俺も」
女「満足した?」
男「……うん」
男「俺、十分満足したよ」
女「そっか」
女「じゃあ…」
女「駅行こうか」
男「そうだな」
女「(……もうちょっと先延ばしにしても大丈夫だよね?)」
……
…
待合室
男「すっかり暗いな」
女「……うん」
男「ちょっと疲れた?」
女「そんなことないよ」
男「…………」
女「電車いつ来るのかな?」
男「えーと…」カチカチ
男「あと3分くらい」
女「そっか」
男「……静かだな」
女「うん。誰もいないね」
女「(……チャンスのはずなのに)」
女「(なんて切り出そうかな…)」
男「…………」
女「…………」
女「(海も見れなかったし…)」
女「(花火もできなかったけど)」
女「(もう十分)」
女「(私は…)」
女「(十分すぎるほど)」
女「(楽しめた…)」
女「…………」
女「(だから、ちゃんと言わなきゃ)」
女「…………」
女「…………」
女「(別れようって)」
女「(他に好きな人ができたから)」
女「(友達に戻りたいから)」
女「(価値観が違うから)」
女「(重いから)」
女「(冷めたから)」
女「(…………キライになったから)」
女「(どれも違う…)」
女「(でも早く言わなきゃ…)」
女「(遅くなっても傷つけるだけなんだから…)」
男「ん」
男「電車来たみたい」
女「!」
女「(一言で終わるんだから…)」
女「(ここで…)」
女「(伝えなきゃ…!)」
女「…………」
男「どしたの?」
女「…………」
男「電車来たよ。女さん」
女「…………」
男「?」
男「具合悪い?」
女「…………」
女「ね、ねぇ…」
男「ん?」
女「…………」
女「……男くん」
女「も、もうひとつ次の電車にしちゃだめ…?」
……
…
女「(うぅ…)」
女「(また言えなかった…)」
男「…………」
女「…………」
男「女さん」
女「……な、なに?」
男「反対側のホーム行こうか」
女「え…」
男「さっきは十分満足したって言ったけど」
男「まだ足りないみたい」
男「行きたいとことやりたいこと残ってるんだ」
女「……わ、わかった」
男「ありがとう」
30分後 駅
男「海沿いの線で助かった」
女「……うん」
男「んじゃ行こう」スタスタ
女「え、海行かないの?」
男「コンビニ寄りたくて」
女「お腹すいた?」
男「花火買おうと思って」
女「!」
男「要らない?」
女「…ううん。うれしい。好き」
だから振られたんだろうな
セーブポイントからやり直せよ
俺も好きだぜ
………
……
…
砂浜
女「こんなにいっぱい入ってるんだね」
男「たしかにびっくり」
女「……これやる!」
男「よし。火つけよう」カチッ
女「……」ニコニコ
男「(楽しそうでよかった…)」
女「ついた!」
男「はやく分けて分けて」
女「やだー」スタスタ
男「あ、逃げたっ!」
女「えへへ」