女「な、なんですか今の音」
男「……あー」
男「洗濯機です。そういえば女さんの服洗濯してましたね」
女「…………」
女「うぅ…」
女「(ムードが…)」
男「すみません。雰囲気壊してしまって」
女「いえ、はやすぎたのかもしれません」
女「焦っちゃいました…」
女「ごめんなさい」
男「謝らなくたって…」
女「……」
男「女さんかわいかったです」
女「!」
男「これは本当です。お世辞でもなんでもないです」
女「う、うれしい…」グスッ
男「……」
男「下着どうしますか?」
女「?」
男「乾燥機能も付いてる洗濯機ですからもう着られますよ」
女「あ、そうなんですか」
男「アイマスクするんで着てください」スッ
女「(別に男さんになら見られてもいいのに…)」ヌギヌギ
………
……
…
男「送っていきますよ」
女「いいです。これ以上お世話してもらうなんて…」
男「まだ雨降ってますし…」
男「それにもう少し一緒にいたいんです」
女「!」
女「……」
女「そ、それならまだ家にいたいです…」
男「それはダメです」
男「もう遅いですから」
男「親も心配するんじゃないですか?」
女「一人暮らしです!」
男「だとしてもダメです」
男「明日は予定があるんです」
女「……すみません。甘えてばっかりで」
男「分かってくれたならいいんです」
女「……」
………
……
…
女「ここで大丈夫です」
男「了解です」
女「わざわざありがとうございました」
男「いえいえ」
女「連絡先交換したいです!」
男「そうですね。忘れるところでした」
女「順序が逆になってしまいましたね」カチカチ
男「たしかに」カチカチ
ピピッ
女「よし。完了しました」
女「じゃあまたメールします!」
男「わかりました」
………
……
…
自宅
男「長い一日だったな」
男「……メール来てる」カチカチ
『明日は行けそう?』
男『あぁ。ジブリでもなんでも行こう』カチカチ
『よろしい』
男『ちなみに他の候補は?』カチカチ
『んー、少女漫画の実写化と洋画アクションかな』
男『んじゃジブリにしよう』
『おっけー。いつものとこに14時ね』
男『了解』
翌日 駅前
男「悪いな。昨日行けなくて」
「謝っても焼肉はなくならないよー」
男「……やっぱりダメか」
「当たり前でしょ」
「ドタキャンしたんだから」
男「……申し訳ない」
「んじゃ行きますか」
男「うむ」
映画館
「……うー」
男「いつもより混んでるな」
「ジブリは初週だからかな」
男「なるほど」
「何買う?」
男「今日は塩にしよう」
「前の味噌は失敗だったね」
男「たしかに」
「てかさ、さっきの話だけど」
男「……」
「やらしいことしたから付き合って責任取るって発想がすごいね」
男「それでも見抜かれて断られたからな」
「強引なんだか奥手なんだか」
自宅
女「今日は仕事ないけど…」
女「これからどうやって男さんと会えばいいのかなぁ」
女「勧誘には行けないし…」
女「……」
女「今日は一人でどこか遊びに行こうかな」
女「そういやジブリ公開したんだっけ」
女「よし。映画見に行こう」
女「一人でも大丈夫だよね…?」
映画館
女「(結構人いる…)」
女「(ジブリは………)」
女「(最後以外完売してる…!)」
女「…………」
女「(さすがにそんなに待ちたくないし)」
女「(他の映画にしようかな)」
「なかなか良かったね」
男「だな」
「さすがジブリ」
男「混んでるのも納得だ」
女「!」
女「(あ、あれって男さん…?)」ジー
女「(やっぱりそうだ!)」
女「(女の人と一緒にいる…)」
女「(誰だろう)」
女「(背低くて可愛らしい人だなぁ…)」
男「ナウシカ見たくなってきた」
男「借りて帰ろう」
「私も見たい」
「家行っていいよね」
男「焼肉2回にしてくれ」
「……まぁしょうがないか」
男「家来たら冷蔵庫開ける?」
「開ける」
男「じゃあ1回」
「…………わかった」
男「じゃあ行こう」
女「(楽しそう…)」
女「(それに家に行くって…)」
帰路
女「(け、結局ついてきちゃったよ…)」
女「(映画も見てないのに)」
女「(これじゃあストーカーだ…)」コソコソ
男「……」カチカチ
「んー私がいるのに携帯触るんだ」
男「そりゃもちろん」カチカチ
「あらら」
男「昨日のうちに送るつもりだったのを忘れてて」カチカチ
「ふーん」
「そんなに好きなんだ。私がいるのに」
男「なんで微妙に張り合ってくるの」カチカチ
「だってー」
男「よし送信」
ヴィィィィン
女「ひゃっ!!」
女「…び、びっくりしたぁ」
女「携帯のバイブにこんなに驚くなんて…」
女「どれだけ神経とがらせてt」
男「……」ポカーン
「……」ポカーン
女「……」ポカーン
男「……あ、女さん」
女「あ、あの、えと」
「この子が…」
男「偶然ですね」
女「ち、違うんです」
女「映画館で男さん見つけて」
女「たのしそうにしてて」
女「きになってきになって」
女「あの、その…」アセアセ
「ストーカーってことね」
男「!」
男「なんて直接的」
女「……」
女「その通りです」
男「……女さんも家来ます?」
女「……いいんですか?」
「えー」
男「文句言わないで」
「だって二人きりの濃密な時間を過ごすはずだったのに…」
女「!」
女「(……彼女さん?)」
女「(あの時告白してくれたのは…)」
女「(もしかして私が断るのも見越して言ってくれただけなのかな)」
男「女さん黙らせるなよ」
「はいはい、すみませんでした」
男「家来てくれる?」
女「……はい。ありがとうございます」
「(からかうの面白いな…)」
自宅
女「……お邪魔します」
「さて何食べようかな」
男「さっそくか」
「まぁまぁ」
男「そういやナウシカよかったのか?」
「うん」
「他の楽しみができたからね」
男「?」
女「(こうやって家にまで来て仲良くするなんてまるで……)」
女「!」
女「も、もしかして…」
「…………」
「私、男君の妹じゃないよ」