男「演技だったんですか」
女「……はー」
女「これでもダメなんですね……」
男「騙すつもりだったんですか」
女「テクニックのひとつです!」ドヤッ
男「……うざっ」
バタン
女「……」
翌日
ピンポーン
ガチャ
男「……あぁ」
女「あぁとはなんですか!」
女「まったく失礼な」
男「断ってるのに毎日毎日来る方が失礼です」
女「そうですかね」
男「……」
女「今日も宅急便と間違えたんですか?」
男「……まぁそうですね」
女「何頼んでたんですか?」
男「……」
女「教えてくださいよー」
男「……本です」
女「本いいですね!」
女「私も漫画好きですよ!」
男「………それもまたテクニックのひとつですか?」
女「違いますよー」
男「そうですか。今日は忙しいんで帰ってください」
バタン
翌日
ピンポーン
女「すいませーん」
ガチャ
男「……ほんとに懲りないですね」
女「はい!」
女「漫画が好きなこと分かってもらうために来ました!」
男「……」
女「好きな漫画はドラえもんです!」
男「そうですか。じゃあ俺もドラえもん好きです」
バタン
女「…………」
女「(きっともう無理だ……)」
女「(それでも……)」
翌日
ピンポーン
女「すいませーん」
男「新聞いりません」
女「せ、せめて開けてください!」
女「顔だけでも覚えていってください」
男「もうしっかり覚えてます」
女「じゃあその顔を強く頭の中にイメージしてください!」
男「……」
女「できましたか?」
男「……まぁできましたけど」
女「会いたくなってきたでしょう?」
男「そんなことないです」
女「恥ずかしがらないでくださいよー」
男「……」イラッ
女「そんなにイライラしないでください!」
男「……」イラッ
女「開けてください!」
女「私が顔忘れそうなんです!」
男「そうですか」
女「そうですかじゃなくて!」
男「……めんどうですね」
女「そんなこと言わずに!」
男「…………」
ガチャ
女「!」
男「……」カチカチ
女「携帯で何してるんですか?」
女「なるほど、連絡先の交換ですね! ちょっと待ってくださいよ…」ガサゴソ
男「……」ピリリリ
女「?」
男「もしもし警察ですか?」
女「つ、通報!?」
翌日
男「ふー」
男「今日の映画も良かったな」
男「ダメだったのはポップコーンの味くらい」
男「来週も楽しみだ」
男「……」
男「今日も夜来るんだろうか……」
男「……通報までしたから大丈夫か」
………
……
…
男「結局来なかったな」
男「……昨日で12日連続だったからな」
男「やっと解放された気分だ」
翌日 夜
男「……」
男「今日も…」
男「……」
男「まぁ来ないのが普通だからな」
………
……
…
男「……」
男「通報はやりすぎたのかな…」
男「……」
翌日 夜
男「……」
男「もう夜か…」
男「なんで気にしてるんだ」
男「……」
男「……」
男「飯作るか…」
ピンポーン
男「!」
ガチャ
「宅急便でーす」
男「……」
「こちらにサインお願いします」
男「はい」カキカキ
「あざーす」
男「どもです」
バタン
男「……」
男「さすがに来なくなったみたいだな」
男「どうせ断るだけだからいいんだけど…」
翌日
ピンポーン
男「!」
ガチャ
女「来ました!」
男「……」
女「数日置く作戦は効きました?」
男「!」
女「その顔だと効果あったみたいですね!」
女「早速取ってみませんか?」
男「……なんですか作戦って」
女「訪ねようか迷ったんですけどちょっと焦らして様子伺おうかなと思いまして」
男「(まんまと引っかかったのか……)」
女「ほらほらどうです?」
女「さみしかったんですよね?」
男「……そんなことないです」
女「ほんとにそうですか?」
男「…………」イラッ
男「通報したのにやめないんですか」
女「頑張ります!」
男「結構です」
バタン
女「(初めて手応えあったような)」
翌日
ピンポーン
女「すいませーん!男さーん!」
ガチャ
男「なんで名前知ってるんですか」
女「調査したからです!」
男「怖っ」
女「私くらいの腕前になると普通ですよこれくらい」
男「……そうですか」
女「あ、私の名前を教えてませんでしたね」
男「いや結構です」
女「女といいます!」
女「気軽に女さんとか呼んでください!」
男「呼びません。取らないんで帰ってください」
女「サービスしますよ!」
男「映画のチケットもトイレットペーパーもいらないです」
女「……くっ」
男「それがサービスだったみたいですね」
女「ち、違います!」
男「じゃあどんなサービスですか」
女「……かっ!」
男「?」
女「身体売ります! 今までもこれで勝ち取ってきました!」
バタン
女「!!」
女「なんで閉めるんですか!!」
ガチャ
男「こんなことで身体売るような人とは怖くて話してられません」ペコ
女「う、嘘です!!」
男「……」
バタン
女「(うぅ……なんであんな事言っちゃったんだ……)」
翌日
ピンポーンピンポーンピンポーン
ガチャ
女「処女です!」
男「……」
バタン
女「し、閉めないでください!」
ガチャ
男「……なんですかいきなり」
女「昨日の話は嘘なんです。信じてください……」
男「情緒が不安定すぎる」
女「(本のタイトルみたい……)」