のび太「だからタイムマシンの発明が遅れたのか」
出木杉「で、スネ夫くんは大丈夫なの?」
しずか「石ころ帽子を被って逃げてるって。でも武さんが……」
???「剛田武なら、ここだよ」
振り向くと、そこには黒服の男が立っていた。地面には血まみれのジャイアンが横たわり
、その首にはナイフが突きつけられている。
しずか「武さん!!!」
のび太「おまえは、ジャイ子ちゃんたちを襲った……」
黒服1「覚えていてもらって光栄だよ。野比のび太」
黒服1「それは出来ん。こいつのせいで相方を失ったんだ。コピーロボットも全部壊されて
しまったからね……あとは俺が自分で君たちを殺さねばならん」
出木杉「なら……さっさと殺せばいいじゃないか」
黒服1「そうはいかない。骨川スネ夫がまだ石ころ帽子を被って逃げている。あいつを誘き
寄せるまで生きててもらわなきゃいけない。GPSでおまえたちの居場所がわかるん
だろ? ならスネ夫はかならずここへ来る。そして、全員殺す」
しずか「そんな……」
のび太(まだだ……まだチャンスはある。この道具さえ使えれば……)
しかし、そのとき黒服の目がのび太のジュラルミンケースをとらえた。
黒服1「おい、そのジュラルミンケースをこっちによこせ」
のび太「!!」
黒服1「後生大事に持ってるところ見るとよっぽど大事なものらしい。起死回生のアイテム
ってところか。お得意の電磁波受信機か? スタンガンか? それとも新しい武器で
も開発したか……何にせよ俺にとって邪魔な物に違いはない。使われると面倒だ。
こっちへよこせ」
のび太「…………」
黒服1「早くしろ。心の友の剛田が死んでもいいのか?」
出木杉「のび太くん……しかたがない。何が入ってるのかわからないけどそれを……」
しずか「のび太さん……」
のび太は唇を噛み、黒服を睨み付けるとジュラルミンケースを胸の前に持ち、黒服の方へ
とゆっくり歩いていく。
黒服まで2メートル位の場所まで近づく。
のび太「残念だったね」
黒服1「何?」
のび太「おまえの負けだ」
のび太はジュラルミンケースの下部のボタンを押した。
ケースの側面がスライドし、中から砲身が現れる。
のび太「バン!!」
射出された空気の塊が黒服の体を吹っ飛ばした。
すぐにしずかがジャイアンのもとに駆け寄る。
しずか「武さん、大丈夫?」
ジャイアン「う……なんとか」
出木杉「のび太くん……それ、空気ピストル?」
のび太「土壇場で完成させたんだ。まさかこのジュラルミンケースそのものが武器だとはあ
いつも思わなかったろうね」
出木杉「しかし、どうやって……」
のび太「空気ピストルは確かにすごいナノマシンだ。しかし、あのサイズにすることを諦め
れば、性能こそ劣るものの現代の科学で代用しうるものだったんだよ。音声認識は
DR-1のときに使ったものがあるしね。そして、どうにもならない部分は……」
懐から、のび太はビックライトを取り出す。
のび太「ビックライトで壊れた空気ピストルを大きくして、そこから直接取り出したんだ。
全部が全部壊れてるわけでもなかったしね。撃つ前に空気の圧縮に20秒ほどかか
るのが難点だけど……それにこんなに大きいと、空気ピストルというより空気砲だ
しね。あはは……」
出木杉「まったく……敵わないよ。のび太くんには」
出木杉「たぶんね」
しずか「――!!待って、おかしいわ!!」
のび太「どうしたの、しずかちゃん?」
しずか「のび太さん、緊急コールのときスネ夫さん何て言ってた?」
のび太「えっと……準マイクロ波と電波障害の頻度が激しいって。それと病院前に僕に化け
たコピーロボットが3体いるって」
しずか「つまり、最低でもコピーロボットは3体いる……そして、1体は出木杉さんが倒し
たのよね?」
出木杉「ああ」
しずか「武さん、あなたはコピーロボットをいくつ倒したの?」
ジャイアン「……ひとつだけ……だ」
出木杉「!!」
た』って……」
出来杉「まさか!」
何かに気づいたように、出木杉が横たわる黒服の男に近づいていく。
上着のポケットから電磁波受信機を取り出すと、黒服に近づけた。
ランプが赤く点灯する。
出木杉「こいつ……コピーロボットだ!!」
???「よく気づいたな。だがもう遅い……ドカン!ドカン!ドカン!」
背後から空気砲を打ち込まれ、のび太、しずか、出木杉が昏倒する。
黒服1「俺が本物だ」
DR-1を作っている部屋だ。作業台の上にドラえもんそっくりのDR-1が乗っている。
部屋の中には他に、出木杉とジャイアンとしずかもいた。3人も、そしてのび太自身も口
にガムテープを張られ、体をロープで縛られている。
目の前には、黒服の男。その指には空気ピストルが装着されていた。
黒服1「剛田武は知っているだろうが、この空気ピストルは改造品だ。貫通力もあるし、十
分に人間を殺す威力がある」
男はその空気ピストルの銃口をしずかの眉間に向けた。