つける。
出木杉「うがっ!!はぁ……はぁ……」
偽スネ夫「出来杉のくせに僕を倒そうなんて、生意気なんだよ」
出木杉「ぐ……あ……」
偽スネ夫「君はどうせしずかちゃんを手に入れることもできない。脇役に過ぎないんだよ。
ちょっと人よりできるだけで、調子に乗りすぎたね」
出木杉の首に、スタンガンの電極が押し付けられる。
偽スネ夫「じゃあね、生意気な脇役くん」
偽スネ夫がスタンガンのスイッチを押した――
閃光とともに火花が飛ぶ。口から煙を出し、痙攣しながら……偽スネ夫がくず折れる。
偽スネ夫「なん……なん……な……んで……」
最後に大きく痙攣してコピーロボットは動かなくなった。
出木杉「ぐ……危なかった……」
出木杉「しかしのび太くんも意地の悪い武器を作るよな」
足元から、焦げたスタンガンを拾いあげる。
出木杉「スイッチから電流が流れるスタンガンなんてさ」
のび太「このスタンガンはね、特殊な装置がついてるんだ。グリップの底についてる小さな
つまみなんだけど……これを右にひねると普通にスタンガンとして使える。ところ
がこれを左にしておくと、回路が切り替わり電極ではなくスイッチから電流が流れ
るんだ」
しずか「どうしてそんな機能を?」
のび太「威力の高い武器ほど相手に奪われたときの対策が必要なのさ。自分が使うとき以外
はつまみを左にセットしておく。これなら敵にスタンガンをとられても、知らずに
向こうがこれを使えば自滅させられる」
出木杉「なんというか、さすがのび太くん……悪知恵が働くね」
ジャイアン「どうした、スネ夫」
スネ夫「準マイクロ波の反応はそのままなのに、外のやつらの姿が消えたんだ」
ジャイアン「なにぃ!?」
スネ夫「おかしい……周波数から見てもコピーロボットがいるのは間違いないのに、何で見
えないんだ?」
ジャイアン「おい、どうすんだ!やつらこっちに来るんじゃないか?」
スネ夫「ちょっと待ってよ……周波数を変えて測定データを検索……!! 今までに測定さ
れてない微弱な電磁波がコピーロボットの準マイクロ波と同調してる……そうか、
石ころ帽子だ!!」
ジャイアン「どうすんだよ!向こうの姿が見えなきゃ戦えないぞ!!」
スネ夫「電磁波受信機だ!あれで敵の方向を確かめて、GPSと合わせて僕が向こうの位置情
報を出す!ジャイアンはそれに合わせて戦うんだ」
ジャイアン「やるしかねぇみたいだな」
のび太思想の賜物だw
ジャイアンは念のため釣竿ケースから猟銃を取り出し、弾を込めておく。
スネ夫「きた!!この病室の外の廊下、右方向だ!」
ジャイアン「おう!」
猟銃をドアに向けて構える。入ってきたらすぐに発砲できる状態だ。
スネ夫「まだだよ、ジャイアン……壁の向こう、すぐ近くにいるけどそこで止まってるみた
いだ。ドアが開いてもすぐには撃たないでね」
ゆっくりとドアが開く。しかし、スネ夫の指示がないのでジャイアンは焦りをこらえなが
らじっと待つ。
スネ夫「きた!今だ!!」
ジャイアン「うおおおおおおおっ!!!」
――ドォン!!
猟銃が火を噴き、何もないはずの空間に弾があたり火花を散らした。
近くに石ころ帽子が転がり、コピーロボットが姿を現す。のび太の姿をしていた。
スネ夫「!!まだ生きてる!」
ジャイアン「へっ……銃で撃たれても平気なんて、のび太のくせに生意気じゃねぇか」
偽のび太「やれるもんならやってみなよ。心の友を本気で殴れるかい?」
ジャイアン「…………」
偽のび太「無理だよね? だって僕らは心のと……がぁあ!!!」
ジャイアンの右ストレートが偽のび太の顔面にクリーンヒットする。
そのまま倒れた偽のび太に馬乗りになると、ボカボカボカボカ殴り続ける。
ジャイアン「殴れるかだとぉ? 殴れるに決まってるじゃねぇか。
のび太をいじめんのはなぁ、俺のライフワークなんだよ!!」
スネ夫(……のび太の姿してきたのは奴の最大の失敗だな)
コピーロボットを殴り続けるジャイアンの背後にピンクのドアが開くのを。
スネ夫「ジャイアン!うしろ……」
黒服2「バン」
言い切るより早く男の空気ピストルが発砲された。肩口を射抜かれてジャイアンが体勢を
崩す。
ジャイアン「うがぁ!!」
スネ夫「ジャイアン!!」
黒服2「おおっと、動くなよ。俺の空気ピストルは改造してあるからな。人間を撃ち殺すこ
となんて簡単なんだよ」
スネ夫「おまえ……いったい誰なんだよ!!」
黒服1「ただの未来人さ。といってもテロリストだがな」
スネ夫「テロ……リスト?」
。だからこの時代に来てタイムマシンの発明者を殺したわけさ。これで未来は変わ
り、タイムマシンの発明は遅れることになる。俺のいた時代にはタイムマシンは発
明されていないから当然タイム・パトロールもいない。もっと未来になればタイム
・パトロールも出てくるが、それ以前にタイムマシンがあったはずもないから奴ら
に俺たちの存在がばれる事はない」
スネ夫「そんな……いや、おかしい。そしたらおまえたちのいた時代にはタイムマシンはな
いわけだから、おまえたちがタイムマシンを持つことも出来ないはずじゃないか」
黒服1「普通なら、な。だが俺たちはタイムマシンの製作者を、タイムマシンに乗りながら
殺した。わかるか? つまり未来が変わったその瞬間、俺たちはタイムマシンの航
行する四次元空間にいたわけだ。未来が変わったことによる修正も、四次元空間に
は干渉できない。だから、俺たちはタイム・パラドクスの修正の影響を受けなかっ
たってわけさ」
黒服2「あ? 全員殺したよ」
黒服1「あとは、タイムマシン発明以前にタイムマシンの存在を知ってしまったおまえらを
殺せば俺たちの計画は完璧だ。誰も俺たちを追うことは出来なくなる」
ジャイアン「てめぇら、そんなことのためにジャイ子を、スネ夫を、こんな目に合わせやが
ったのか!!!」
黒服2「威勢がいいな、ゴリラ野郎が……バン」
ジャイアン「ぐぁああ!!」
空気ピストルがジャイアンの脚に穴を開ける。さしもの豪傑ジャイアンもたまらずのたう
ちまわる。
スネ夫「ジャイアン!!!」
黒服1「おっと、動くなよ。傷口がまた一個増えるぜ?」
素手で壊しちまいやがった」
黒服1「まるで人間凶器だな。さっさと殺しとけ」
スネ夫(人間凶器?……そうだ!!)
スネ夫「ジャイアン!歌うんだ!!大声で歌うんだ!!」
ジャイアン「な……!?」
スネ夫「早く!!!!」
黒服2「ごちゃごちゃうるせぇ!バ……」
その瞬間、ジャイアンは咆哮した。
昔口ずさんだあのガキ大将の歌を、全力で歌った。
黒服1「ぐあああああ!なんだ、この怪音波は!!」
黒服2「バン!バン!……駄目だ!うるさすぎて空気ピストルの音声認識が出来ない!」
歌いながら、豪傑・ジャイアンが立ち上がる。
肩と脚から血を滴らせ、歌いながら黒服に向かっていく。
ジャイアン「がぁぁぁぁぁっきだあいしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!」
黒服2「うががががががががが」
黒服の首をジャイアンの豪腕が思いっきり締め付ける。
――メキメキメキメキ
ついに黒服の男は気を失い、ジャイアンの手から滑り落ちる。
しかし、その直後ジャイアンの歌声が止まる。
黒服1「調子に……乗りやがって」
もう一人の男の手に握られたナイフが、ジャイアンの腹部に突き刺さっていた。
ジャイアン「ぐ……おお……スネ夫、逃げろ!!」
スネ夫「!!」
ジャイアン「逃げろ!このことをのび太たちに知らせるんだ……早く行けぇぇぇ!!」
ジャイアンは血を滴らせながら黒服に掴み掛かる。
黒服の男はジャイアンを引き離そうと必死だ。
ジャイアン「行けぇぇぇっ!スネ夫!!!」
スネ夫(ごめん、ジャイアン。ごめん!!)
スネ夫はベットから転げ落ちると、コピーロボットの使っていた石ころ帽子を拾い、傷む
傷口を押さえながら病室から駆け出していった。
走りながら院内を眺める。医師から患者から、皆眠らされていた。殺されている者もいる。
スネ夫(僕らのせいで……)
スネ夫は泣きながら走った。
出木杉は腕を折られていたが、コピーロボットを一体倒したとのことだった。
出木杉「それより……スネ夫くんたちとさっきから連絡が取れないんだ」
のび太「うん、それは僕らも心配してたんだ。出木杉くんと合流したら病院に行ってみよう
かって話してた」
しずか「……待って!スネ夫さんから電話が……もしもし、スネ夫さん?」
スネ夫『ああ、しずかちゃん。実は……』